このページをdel.icio.usに追加 このページをはてなブックマークに追加このページを含むはてなブックマーク このページをlivedoor クリップに追加このページを含むlivedoor クリップ このページをYahoo!ブックマークに追加

Mariage Sorciere配布小冊子 の変更点


[[追加TIPS]]

2010年3月22日に開催された、『うみねこのなく頃に』『ひぐらしのなく頃に』同人誌即売会「Mariage Sorciere」で配布された小冊子の抜粋です。
改行・誤字・頁など原文なるべくそのままにしました。
~
うみねこのなく頃に
だれのおちゃかい?

さく・え
 07th Expansion

----

風の便りって、知ってます…?

本当に風が運んできて、
私たちの耳元で囁いてくれるんです。


「ご機嫌如何、ベルンカステル?
素敵なお茶会を開きます。どうかご参加下さいな。」

-----

一体、誰のお誘いでしょう。

でも、魔女を誘うというのですから、
相手もきっと、魔女に違いありません。

「……面白いじゃない。付き合ってあげるわ、
退屈を一時、忘れられるなら。」

-----

風に導かれて。

ベルンカステルがやってきたのは、鬱蒼と茂った、暗い森。

「……こんな森の中で殺されたら。どんなに悲鳴をあげても、
誰にも聞いてもらえないわね。魔女のお茶会にぴったりの森だわ。」

-----

森の入口には、椅子のように切り抜いた、
大きな切り株と、小さな看板がありました。

“魔女のお茶会へようこそ。
遠路からはるばるで、きっとお疲れでしょう。
どうぞ、この切り株で、一休みしていって下さい。”

-----

ベルンカステルは、切り株の椅子を、
じろりと見てから言いました。

「……えぇ、わかってるわ。これに座ると、罠で、鎖か何かで縛られて。
上からべしゃっとチェリーパイでも降ってきて、笑いものにされるって、
趣向なのよね。」

危ない危ない。
ベルンカステルは危うく、お茶会の客人ではなく、余興にされてしまうところでした。

-----

森の小道を進んでいきます。
すると、木苺の茂みがあり、
その前に小さなテーブルが置かれていました。
そこには、木苺のジュースが置かれていました。

“喉が渇いたでしょう。どうぞお飲み下さい。”

-----

ベルンカステルは、ジュースのコップを、
じろりと見てから言いました。

「……えぇ、わかってるわ。どうせ、毒が入っていて、これを飲むと、
お腹を壊して、笑いものにされるという、趣向なのよね。」

危ない危ない。
ベルンカステルは、またしても罠を見抜きます。

------

森を進むと、行く先々で、様々な罠が、
ベルンカステルを待ち受けていました。

“どうぞ、お召しあがりください。おいしい、アケビです。”
「……ひっかかるわけないでしょ。どうせ、毒入りなのよ。」

“遊んでみませんか?蔦で編んだ、楽しいブランコです。”
「……ひっかかるわけないでしょ。どうせ、罠なのよ。わかってんだから。」

------

やがて、森の奥に、お菓子で出来た、家が見えてきました。

“本当にお疲れさまでした。
どうぞ、ノックして、お入り下さい。”

「……この馬鹿げた、茶会の主は誰かしら。せめて顔ぐらい拝んでやるわ。
……おっと、この家も、罠かもしれないわね。用心しなくちゃ。」

ベルンカステルは、息を殺して、
そっと、家の中の様子をうかがいました…。

------

家の中には、ラムダデルタと、そしてフェザリーヌが、
お茶を飲みながら、談笑していました。

「来るわよ、ベルンは。」

「あれは、猫より疑り深い性分。
罠に違いないと疑り、
途中で、引き返したに違いない。」

二人は、ベルンカステルが来るか来ないかで、
言い争っているようでした。

-----

「ベルンは絶対来るわ。絶対の魔女として約束する。それに、
罠なんて怯えるわけがないわ。椅子とか飲み物とか、それに
おやつとか。森のお茶会を楽しんでもらえるように、たくさんの
趣向で御持て成ししてるんだもの。きっとベルンも、楽しみな
がら、ここまでやって来るはずよ。」

「はてさて、どうかな…?私は、あれが巫女だった頃からよく知
っている。そなたが思っているより、あれははるかに不器用で
愚鈍で、そして怯えやすい。……そなたの趣向を解せるほ
ど、あれの心は広くない。」

「それはあんたのとこに居た時の話でしょう…?今は違うの
よ。あの子はね、私と一緒に遊ぶようになってから、すっかり明
るくなったの。昔のあの子とは違うのよ。」

-------

「どうかな?いくら餌を与えようとも、野良猫は決して懐かぬ。
この茶会は、私とそなたの二人きりのものになるであろう。」

「来るわよ…!
絶対にベルンは来るわ!
絶対の魔女が約束する!」

「来ぬ来ぬ。あれは決して来ることはない。
感激の魔女が約束しよう。
観劇の魔女が約束しよう。
くすくすくすくすくすくす…!」

「来るわよ!あの子は、私と遊ぶようになってから、変わったの…!!」

------

ベルンは、足早に森の小道を引き返していました。
罠に気付き、踵を返したから…?
少し様子が違うようでした。

「……アウアウローラに、絶対来ないと言われたら。……意地でも行っ
てやろうって思うわ。あんにゃろォの思い通りになるのだけは、絶対にご
めんよ。………えぇ、それだけが理由よ。ラムダのあんぽんたんに義理立
てしてるつもりは、さらさらないんだから。」

ベルンはそう呟きながら、
でも、どんどん道を引き返して行きます。
お茶会に参加するつもりなのに、
どうしてどんどん、帰ってしまうの…?

------

そこは、森の入口でした。
切り株の椅子と小さな看板。

“魔女のお茶会へようこそ。
遠路からはるばるで、きっとお疲れでしょう。
どうぞ、この切り株で、一休みしていって下さい。”

「……えぇ、まったくもって、歩き続けで疲れたわ。
ぜひそうさせてもらうわよ。」

ベルンは、切り株の椅子に腰掛けます。
ずいぶんと遠回りしてしまいましたが。
……ようやく、ラムダデルタのお茶会に、
参加できたようです。

--------

「あっはっはっはっは、あーっはっはっはっは!ほらねほらね?
ベルン、引っ掛かった。ぜーったい、引っ掛かると思ってたわ~☆」
「……疑り深きこと、猫の如しと思っていたそなたが、
……この程度の罠に引っ掛かるとは。
……失望、…いや、飽きさせぬな、そなたは。」
「………そうね、私は本当に変わったわ。
ラムダのせいで、だいぶ甘口になったわよ。」

ベルンカステルは切り株の椅子の上で、
太い鎖にぐるぐる巻きにされ、頭にチーズケーキが1ホール、
真っ逆さまに。帽子のように、彼女のあたまに、
べっしゃりと載っています。

この切り株に座ると、そうなるように、
罠が仕掛けられていたのです。

-------

「楽しんでもらえた?私の余興は。」
「……まぁまぁね。これがチーズケーキじゃなくて、
梅干ジャムのパイだったら百点満点だったわよ。」
「いや、チーズケーキで似合っているぞ。そなたの髪に、実によく似合う。」
「……アウアウローラの頭には、多分、
納豆とおからのジャム瓶が似合うわよ。」

ようやくベルンカステルも到着し、
楽しい楽しい、
魔女たちのお茶会が始まったのでした。


<おしまい>

IP:121.95.47.208 TIME:"2010-03-24 (水) 19:45:41" REFERER:"http://umineco.info/" USER_AGENT:""