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コミックマーケット81頒布小冊子 の変更点


[[追加TIPS]]

2012年12月31日に開催された、コミックマーケット81で頒布された小冊子の抜粋です。
改行・誤字・頁など原文なるべくそのままにしました。
(今回の小冊子では「!」、「?」、それらの直後のスペース、地の文の文頭スペースがいずれも半角になっています。地の文の文頭スペースのみ、wikiのルール上全角スペースで記載しています。)
また一部【】内で捕捉説明をしています。
~
天使17歳
東シ-44a
07th Expansion

----

【イベント用サークルカット】
【背景は戦人】
【「マス」は記号で表記されている】

|CENTER:44|CENTER:天使17歳|
|>|&size(17){うみねこのなく頃に};&br;&br;&br;&br;&br;&br;お兄ちゃん&br;総受け新刊ありマス。|

----

&size(20){ 午前11時。};
&size(20){ 有明国際展示場、};
&size(20){東5ホール、東シ-44-a「天使17歳」};
&size(20){'' 午前11時。''};
&size(20){'' 有明国際展示場、''};
&size(20){''東5ホール、東シ-44-a「天使17歳」''};
~
「こちらは最後尾ではありませーん!! 最後尾は現在、東1ホール
脇になっておりまーす!!」
「すみませーん! “天使17歳”のスペースはここですかぁ?!」
「あ、すみません。列は外になってるんですよ~。回ってもらえま
すかぁ? すいませーん!!」
「準備会なんですけどー! 取り置きお願いできますかー! 新刊の
戦人総受け本を20冊でー!!」~
~
「寿先生ぇ、スケブお願いしまーす!! きゃーッ、リーア先生もいるー!!
 握手してくださいー!! きゃーきゃーッ!!!」

----

&size(20){午後7時};
&size(20){東京ベイ有明ワシントンホテル。スイートルーム。};~
&size(20){''午後7時。''};
&size(20){''東京ベイ有明ワシントンホテル。スイートルーム。''};
~
「「乾杯っ。」」~
 チン。軽やかなグラスの音が響き渡った。
「きっかり正午に完売っ。見事な戦果だわ。今日の持ち込みは
何部だっけ?」
「1万部ですよ。ほっほっほっほ、まさか本当に完売できるとは。」~
 縁寿とワルギリアはグラスを傾けながら、今日の戦果と美酒の
酔いを楽しんでいた。(もちろん18歳の縁寿はノンアルコールで)
 2人のサークル、「天使17歳」は、今や破竹の勢い。
うみねこBL界で知らぬ者はいない、超大手サークルだった。~
 二人はタッグ結成以前にもそれぞれ個別に活動はしていたが、
それほどの評判ではなかった。
 しかし、二人の才能が融合して化学変化を起こした時。開花と
呼ぶより、爆発と呼ぶに相応しい才能が開き、瞬く間に二人を
大手サークルに押し上げたのだ。

----

「新刊3冊と団扇とペーパーバッグのセットが1万部完売。…まぁ、
私たちの手にかかればこんなものね……。」
「ショップでの評判も上々です。BL専門店、鯨の穴さんからも、
早くも再発注がかかっていますよ。」~
「私たちならBL界で天下が取れるわ。打倒、香港アリス幻楽団!!」
「香港アリスさんはいつもすごい行列ですねぇ。あそこはどんな
本を出展しているんですか?」
「あそこはシューティングゲームよ、BLシューティング。モーホー
って聞いたことない? 主人公も各ステージのボスも、みんな
ショタばっかなのよ。」
「おやおや、それはそれは……。ぜひとも遊んでみなくてはなり
ませんね。ほっほっほっほ……。」
~
 そんな、ブルジョワジーな会話を交わす縁寿とワルギリアで
あった……。

----

「さて。一つの勝利は次なる戦いの入口でしかないわっ。今回は
お兄ちゃんの総受け本で圧勝できたけれど! 時代は常に動い
ているわ。冬コミも同じだったら読者は飽きちゃう!」
「そうですね。また新しいカップリングの境地を開きたいものです。」~
「次は何にする? ぶっちゃけ、お兄ちゃんは一度離れてもいいと
思うわ。」
「ほかにも魅力的なカップリングはたくさんありますしねぇ。吟味して
みるのも良いと思います。」
「となりゃ、作戦会議だわ! 冬コミの申し込みは時間がないし!」
~
今でこそネット申し込みのお陰で多少、猶予は伸びたが。
かつては、夏コミ終了後、ほんの数日で冬コミの申し込み締め切り
なんてこともザラだった。~
つまり、夏コミの興奮も冷めやらぬ内に、もう冬コミの本のことを
考えなければならないのだ。

----

「ぶっちゃけ。誰×誰?! カップリングで勝負が決まるわ!」
「私たちのモチベーションにも直結しますしねぇ。慎重に決め
たいものです。」
「適当に列挙して考えてみようじゃない。まずは王道、何かない?」
「では、王道ということで一つ、金蔵×源次では如何でしょう。」~
 ワルギリアがパチリと指を弾くと、彼女らのスイートルームが
ふわりと模様替えし、金蔵の書斎に変わる。
 ベッドは天蓋付きの見事なものに変わり、その傍らに、ポン、
ポンと、金蔵と源次が姿を現す。
~
「……ふむ。ここは誰のゲーム盤の上やら。」
「これはお館様。……またベアトリーチェさまのゲームの始まり
でしょうか。」
「わからぬ。まぁ、どうせ我らは魔女の駒よ。私はいつものように
雷雨に向かって、ベアトリーチェ~と叫ぶ役だ。」~
ワルギリアがくるりと指を回すと、二人は自分たちの意思によらず、
ベッドの脇へ移動してしまう。

----

「……これはどういう趣向でしょう。」
「わからぬ。……むむ、なぜに私の手がお前の肩に。」
「……私の手までお館様の肩に。」
「ぬお。喉の奥からセリフが湧き上がってくるぞ。……“'''源次よ、'''
'''我が友よ。'''”」
「私めにも、セリフが湧き上がってまいります。……“'''お館様……。'''
'''お慕い申し上げておりました……。'''”」~
'''「“そなたが男にさえ生まれなかったら、私は妻など、娶りはしな'''
'''かったろう……。”」'''
'''「“……お館様……。……お気持ちは嬉しく思います。……'''
'''しかし私は家具に過ぎません。お館様の伴侶にはなれないの'''
'''です。”」'''
'''「“えぇい、お前はいつも自分を家具家具とっ。私の気持ちを知っ'''
'''ているくせに、いつも自分を家具などと!'''”……私は何を言っている
のだ、源次。」
「……わかりません。“'''お館様、お戯れを……'''”」
'''「“良かろう、ならばお前は家具だ。……家具なのだから、今か'''
'''ら何があっても、抵抗も口答えも許さんぞ……。'''”…ぬおおお、
体がぁあぁ!!」
「お、お館様ぁあぁああぁ!!」

----

「っと、いう感じで、どさりと二人はベッドに~!!」
「ストップ! 主従関係がそのまんまって、何てヒネリがないの? 
こうじゃなきゃ萌えないわっ。はいっ、二人とも仕切り直し!」~
 縁寿がパンと手を叩くと、金蔵と源次の体はぴょこりと起き
上がり、再び、スタート地点に戻る。~
「いい? 基本的に主従は逆転してこそ面白いのよ。見たまん
まがそのまんまなんて、ヒネリも何にもないわけ! つまりこーで
なきゃ!」~
「また体が勝手にー! “'''……静かであるな、源次。こうして'''
'''いると、互いに若かった頃を思い出すぞ。”」'''
'''「“……懐かしいですな。まだ、主従の関係ではなかった'''
'''頃です。”」'''
「ぬおお、逆らえぬー!! “'''…思えば、お前はいつからそのような'''
'''堅苦しい口調で話すようになったのか。……昔の口調が'''
'''懐かしいぞ。”」'''
'''「“……………………………。”」'''

----

'''「“源次?”」'''
'''「“………老けたじゃねーか。金ちゃん。”」'''
「ぬおっ、源次、その口調は懐かしい…!」
「わ、私の意思ではございません…。ど、どうしてこのようなこ
とが口から……。」
 そして源次の腕が金蔵の襟首をむんずと掴む。
そして金蔵の体をどさりとベッドの上に。
「ぬおお、源次っ、何をするかっ。」
「わっ、私の意思ではないのに、体が勝手にぃ!」
 ベッドの上の金蔵の上に、源次はがばりと覆い被さる……。~
「っと!! こう来るわけよ! わかる?!」
「ま、まぁ確かにわかります。下剋上やリバースはカップリングの
基本中の基本。……しかし、その基本に飽いたからこそ、さらに
その逆になり、結局は王道に至るのではないですか?」
「2回捻って、元に戻ったらヒネリなしも同じじゃない!」

----

「……まぁまぁ。この議論はこのくらいにして。他のカップリングも
探してみましょう。」
「それもそうね。金蔵と源次なんて、レアすぎる需要だわ。そも
そも私、年寄りなんて描きたくないし。」
「では、郷田×嘉音とか如何でしょう。」
 ワルギリアがぱちりと指を鳴らすと、金蔵と源次は蝶の群れに
なって消え去り、変わって今度は郷田と嘉音が姿を現す。
「もちろん、嘉音が攻めよね?」
「となるところを捻って郷田攻めで。郷田のマッシヴな肉体が
嘉音の白く細い体に覆い被さり……。」
~
「こ、これはどうしたことでしょう?! わ、私の体が、ほ、火照るぅう
うぅ!!」
「なッ、なんでこんなところで急に脱ぎ出すんですか…?!」
 郷田の肉体が唐突に火照り出す。その熱さに耐え兼ね、ビルド
アップされた肉体を嘉音の前に晒す。

----

「……くッ、……見せつけているつもりですか……。」
 嘉音の顔がくしゃりと歪み、そっぽを向く。
 無理もない。シャツまで脱ぎ捨てた郷田が晒すその胸元は、
嘉音が憧れて止まないものなのだから。
「……な、何だ? 勝手に口が動く……?! “'''郷田さん…。……'''
'''いつ見ても、……本当に羨ましい肉体です。'''”」
「嘉音さん? 急に何を?! ……あぁッ? 私の口も勝手に!! “'''ふふ'''
'''ふ。男はこうでなくてはいけません。そんな細い体では、いざと'''
'''いう時、身を守ることも出来ませんよ。'''”」
「ちょ、ちょっと……、な、何を……。」
「……い、いや、私の腕が勝手に……。」
「は、離して下さい……。……ぐっ………。」
'''「“ふっふっふ……。華奢な体ですねぇ。……鍛えておかな'''
'''いから、自分の身一つ守れないのですよ……。”」'''
「よ、余計なお世話だッ。は、離せ……!!」
「だから私の意思ではないというのです…! …ああぁ、腕が勝手
にぃ!!」
「やめろッ、離せッ、離せ……、く、……ぐっ!」
「“'''それで精一杯ですか…? 本当に嘉音さんは可愛い方だ。'''
'''……体を鍛えなかったことを、身をもって後悔させてあげましょう'''
'''……。'''”って、う、うわぁああぁああ!!」
「ご、郷田さ、……やッ、やめろぉおおおおぉおお…!!」

----

「とまぁ、こんな感じなのですよ、ほっほっほっほ。」
「ヒネリなくてつまんないわよ。むしろ逆でしょ。案外ヘタレな
郷田が、赤目嘉音くんにいいように甚振られちゃうからイイん
じゃない!」~
 縁寿が手をパンと叩くと、嘉音の瞳が赤く光る。
 そしてその細い腕で、ぎりりと郷田の腕をねじ上げると、逆に
ベッドの上に組み伏せてしまう。~
「痛たたたたた、痛い痛いッ。痛いですよ嘉音さん…!!」
'''「“情けない声出すなよ。いい年した大人がさ。……くっくっ'''
'''くっく。”」'''
「は、はぁ?! 嘉音さん? 嘉音さぁん!!」
「“'''何だよ、でかい図体して、女みたいな声で。……情けない'''
'''ヤツ。ちょっとなぞるだけで、こうだ……。”」'''
'''「“ふ、ふあぁああぁぁぁ……!!'''” か、嘉音さん、くすぐった痛い、
あひひひぃい!!」

----

「これでこそ嘉音×郷田よね。わかる?! ワルギリアはとにかく、
ヒネリが一つ足りないのよ。まぁ、それでなくとも私、おっさん
なんか書きたくないけど。」
「……私はガチムチが受けなのは感心しません。線の細い子
が受けなのはわかりますが……。」~
「だからこそ、それを引っ繰り返すのが王道じゃない。カップリン
グの基本は、見掛けの逆なのよ!」
「その下剋上理論に基づくと、戦人×留弗夫になりますね?」
「あー、そこは違うのよ。基本、お兄ちゃんは総受け。留弗夫は
どー見ても攻めオンリーでしょ。」
「まぁ確かに。基本的に戦人くんは誰が相手でも受け専です
ものねぇ。仮にウィルと戦人であっても、戦人くんが受けです
ものねぇ。」~
「ウィ、ウィル×戦人?! またそれは、……面白いカップリングね。」
「ほっほほほほ。男が二人、揃いさえすれば。直ちにカップリング
を生み出してしまえるのが私たちの真骨頂ですよ。」~
 ワルギリアが指を鳴らすと、嘉音と郷田は消え、代わりに、
ベッドの上で重なるウィルと戦人になる。

----

「どわッ?! 何だ、ここは?! これは一体、どういう状況なんだ?!」
「痛ェ。暴れんじゃねェ。」
「ウィルじゃねぇか…! 俺とお前が同じ舞台の上ってのは、珍しい
シナリオだぜ?」
「……俺はそれより、ここがベッドの上で、どうしてお前の上に
覆い被さる形で呼び出されたのかの方が気にならァ。」
「よくわからねぇが、……邪悪な魔女の気配がぷんぷんするぜ。
俺たちは一体、どこの魔女に呼び出されたんだ…?」~
「をっほほほほほ。薔薇の魔女の宴にようこそ、お二人…!
さぁ、耽美なる世界を奏でなさい…!!」~
「痛てて、痛ぇよウィル…! ちょっと俺の上からどいてくれ…!」
'''「“どいてくれ…? ……俺の犬のくせに、主人にどけと命令'''
'''するのか…?”」'''
「はぁ?! お前、何、言ってんだ?」
「…俺にもわからねェ。“'''お前は俺の犬だ。……犬に許される'''
'''のは鳴くことだけ。…聞かせろよ。今日もいい鳴き声を……。'''”」~
「やッ、やめろウィルッ、ぃやめろぉおおおおおおおおおぉおおお!!!」

----

「ふつーに考えると、ヘタレなお兄ちゃんが逆転して攻めも
ありかな…ってなるのよね。ウィルみたいなパーフェクトイケメン
が、実は好き放題されてる猫だったなんて、意外性ありまく
りだもん。でも駄目なのよ! お兄ちゃんには総受け属性がある
から、相手が誰であっても受けなのよ。これ大事よ。テストに
出るから。」
「さらに言うと、ウィル×理御ですでにカップリングが出来上が
ってますからねぇ。ウィルは他のキャラとは、原則、絡みませんし。」~
 ワルギリアが指を鳴らすと、戦人は蝶の群れになって姿を消す。~
 しかしウィルの姿はそのままだ。
何もないベッドに向かって四つん這いになっているその格好の
ままでだ。~
「戦人…? どこへ行った…? ちっ、今度はどういう余興だ……。」

----

 すると今度は、戦人と入れ替わるかのように、そこに再び蝶の
群れが集まり、今度は理御の姿を形作る。
「……り、理御?!」
「ウィ、……ウィル? ……ここは、一体……。」
「んッ、……体が、……勝手に………。」
「ウィル? どうしたんです?! ちょ、ちょっと、な、何を……?!」
 ウィルの指が、……ゆっくりと理御のボタンを外し始める。
 赤面しながら抗おうとする理御の両腕を、ウィルの腕がベッド
に押さえ付ける。~
'''「“……いいだろ。”」'''
「え? な、何がですか……。」
'''「“お前の性別。……今日こそ、教えてもらうぞ。”」'''
「ちょ、ちょっと…?! や、やめて下さい、ウィル…! 悪ふざけは、お、
起こりますよ?!」
'''「“暴れんなよ……。どうせ俺には逆らえないんだから……。”」'''

----

 パンと、縁寿が手を叩くと二人の体がびくっと停止する。~
「やめてよ、駄目よ駄目よ! 理御が攻めに決まってるじゃない! あ
んた本当に世間をリサーチしてんの?! はい、攻守逆転で再開!」
 縁寿がもう一度手を叩くと、理御がウィルの腕を払いのける。~
「だ、大丈夫か、理御。」
'''「………“よくも好き放題にしてくれたものですね。”」'''
「理御……?」
「わ、私の意思じゃありません…! 口が、……体が勝手に…!」
 理御はウィルをごろりとひっくり返す。
すると……、その尻に指を伸ばし……。
 ぐい、ぐりりりり……。
「いッ、痛ぇえ!! や、やめろ、痛ててててッ!!」
'''「“何を暴れてるんです…? ……もっと力を抜いてください。…'''
'''…本当は、お餅みたいに柔らかいお尻をしているくせに……。”」'''
「馬鹿なこと言ってんじゃねェ…!! く、くそ、体が言うことを聞かねェ!」
'''「“抵抗しないで。……私の指で、……天国に連れて行って'''
'''あげますから。”」'''

----

「ふ、……ふふふふふふ。どう? これでこそ理御×ウィルよ…! 
私こそがジャスティス!!」~
 一筋の鼻血を垂らしながら、薔薇の魔女はニヤリと笑う。
 しかしワルギリアは腕組みをして反論する。~
「しかしながら、理御×ウィルはむしろ王道過ぎてマンネリでは?
ここは年長者であるウィルがリードするからこそ面白いのですっ。」~
「……ワルギリアって、おっさん絡ますの好きでしょ。さっきから
ことごとくカップリングにおっさんが混じってる気がするわ。」
「良いではありませんかっ。人生の表も裏も知り尽くした深み
ある中年男の、少しだらしない体が最高に旬な霜降りお肉で
はありませんかっ。私に言わせれば、ウィル×理御でもまだ甘
いです。そこに秀吉が乱入してNTRてしまうくらいじゃなきゃ、
全然キません!!」~
「ひ、秀吉伯父さんが…? ウィルの目の前で理御を…?!」

----

 バーンと扉が威勢よく開き、な、何と、パンツ一丁の秀吉が
乱入してくる!~
'''「“楽しそうやないか。二人のいやらしい吐息が、廊下にまで'''
'''聞こえてくるでぇ!”」'''
「ひッ、秀吉叔父さん?! こ、これはその…!! というか、その格好
は一体?!」
「わ、わしの体が勝手に動くんやー! 勘忍やー、助けてやー!! 
“'''ぐっひっひ! 女みたいな体しよってからにぃ。女でも女でなくて'''
'''もどっちでもええんや。わしがちょいと今から味見したるからな~。'''”
……ぎゃーッ、堪忍やー、堪忍やー!!」
「わ、私だって秀吉叔父さんに興味はありません! あッ、ひ、
秀吉叔父さんんんんぁああぁあ!!」
「り、理御…!! ち、畜生、体が動かねェ…! 一体、黒幕は誰だ?! 
どこの性悪魔女だ?! ベルンカステルだって、ここまで趣味は
悪くねェ!!」~
「ほっほっほ。この薔薇の魔女たちに気に入られたのが運の
尽きですよ。……大人しく私たちにシチュエーションを提供し、
冬コミの新刊の贄となるが良いでしょう。」
「ストップ。私的には理御受けはないわ。どうせ受けるなら、
ウィル総受けよね。」

----

 縁寿が手を叩くと、秀吉は理御をほっぽりだし、その下に組
み伏せられていたウィルに襲い掛かる…!~
'''「“と見せ掛けて。……わしの狙いは最初からお前じゃあ'''
'''あぁああい!!'''” 堪忍してやーッ、わしはこんなキャラじゃない
んやー!!」
'''「“ひ、秀吉叔父さん…!! わ、私はどうなってもいいですから、'''
'''ウィ、ウィルだけは許して……!!”」'''
「う、うおああぁあああぁあああ……!! 猫の群に食い千切られた
方がマシだぁああぁ!!」~
「理御×ウィルであるところなのに、秀吉×理御になるからこそ、
下剋上理論が成立するのではありませんか?!」
「あ、うーん、なるほど、そういう考え方もあるわねぇ……。でも
駄目よ、譲らない! ウィルは総受けなのよ、譲れない!」
「なのに、理御が汚らわしい中年にあーだこーだされちゃって! 
総受けウィルが攻めに開眼したらヒネリもあって素敵じゃない
ですか!」

----

「で、ウィルが秀吉やっつけて理御を取り返して、ウィル×理御
になるの? それじゃまた、2回捻って、ヒネリ無しに戻ってきた
だけじゃない!」
「いえいえむしろですね、秀吉がウィルを返り討ちにして二人
とも食ってしまうとか! 攻めは汚ければ汚いほどいいんです! 
それでこそ、受けの美しさと儚さが引き立つんです! あぁ、た
ぎってきましたよ、テンションが、そしてネームが!! さっそくプロット
を描いてしまいましょう、さらさらさら!」~
「……さ、さすがはワルギリアだわ。恐ろしいことを平気で言い
出す、ネームにするっ。そこに痺れる、憧れるわ……。でも私、
悪いけど、秀吉のお尻にペン入れなんかしたくないわよ!!」
「本当に縁寿さんはわかっていませんね…! 美しい白い薔薇
に、醜い肉塊が覆い被さるから美しいというのに!!」
「醜い肉塊は、どこから書いても醜い肉塊でしょーが!!」
「でも、戦人くんが秀吉に襲われたら素敵でしょう?!」
「んッ、…………んー、ど、どうかしら。……ちょ、ちょっと私の貧
相な想像力では脳内再現できないわ……。」
「ほっほっほ。ではもう一度、ゲーム盤で再現してみましょう!」~
 パチン!

----

'''「“戦人くん、大人しゅーしててなぁ? すぐ終わるさかいな、'''
'''堪忍な堪忍な……!”」'''
「ぎゃわーー!!! 助けてくれぇええぇえ!! こんな魔女のゲームは
嫌だぁああ、いっそ殺してくれぇええ!!」
「わしかて嫌やー!! 誰かわしらを殺してぇなぁあああぁ!!」~
「うぇー、ゲホンゲホン!! ないわ、ないないッ、絶対ない! いくら
お兄ちゃん総受けでも秀吉×戦人とかありえない!」
「じゃあ逆ですか? “'''秀吉伯父さんさ。……いい歳して、息子'''
'''より年下の甥に、好き放題されちゃうのって、……どー思いま'''
'''す…?'''” 、とか。」~
「黒戦人…! ま、まぁ確かに悪くないわよね…。黒白戦人なんて
確かに魅力的だわ。黒戦人が、………。」
 ワルギリアがパチンと指を弾き、縁寿の妄想を具現化する…。
ベッドの上に、二人の戦人が姿を現す。
 組み伏せられている戦人は誰もがよく知る戦人。
 組み伏せている戦人は、何だか雰囲気がニヒルでワイルドだ。

----

「“'''……戦人、お前の本当の心を解放してやるよ……。'''”」
「な、なんなんだッ、身体が思うように動かねぇ…!」
「“'''くっくっくっく……、本当のお前の心がわかるのは、同じ戦人'''
'''である俺だけなんだぜ……。'''”」
「ふ、ふざけるなッ、う、うぉおおぉ!!」
「“'''素直になって、……力を緩めろよ……、よしよし、そうだ……、'''
'''いい子だ………。'''”」
「や、やめろぉおおぉ、そ、それ以上……、ぉッ、おああぁあぁッ!!」
「“'''うるさい口だな……、俺が塞いでやるよ……。'''”」
「さッ、さっきから何なんだ、これはッー?! ヒィィイ!! 助けてくれー!
 おかーさーん!!」~
「攻め戦人も素敵じゃないですか! 醜い肉塊の秀吉を組み伏
せる黒き戦人……。どうです? 戦人くんの攻めもなかなかでし
ょう?」
「……む、むむ、確かにそれもまぁアリね……。じゃないわよッ!! 
というかワルギリア、いい加減、秀吉から離れてよ! 私におっさん
を描かせようとするの止めて!!」
「BLがカレーライスなら中年男はそのルーです!! 中年がいる
からこそ、お米の白さと若々しさが引き立つのです!」
「せいぜい付け合せのらっきょう程度でしょーが!!」

----

「な、なら縁寿さんにも譲歩して、若返り化というのは如何です? 
蔵臼や留弗夫、秀吉たちの若い頃を舞台にしては……。」
「んー、どうかしら……。何だか箸が進まないわ。」
「若返ってるのですから、これならあなたも描けるでしょう?」
「でも、正体はおっさんでしょ?! ないわ、ってゆーか、中年男に魅力
を感じないの!」
「どうしてあなたはこの世の理を理解できないのですか!! 御覧
なさい、そして理解なさい! 若返った中年男たちのハーモニーを!!」
 パチリ!
'''「“留弗夫。……お前には少々、兄に対する敬意が欠けている'''
'''ようだ……。”」'''
'''「“こ、これは何の真似だよ、兄貴…! や、やめろ……!!!”」'''
「若ロノウェとか若金蔵も素敵ですよ?!」
「んー、どうかしら……。若くても私、そもそもヒゲが駄目。というか、
若かろうと若くなかろうと、いい加減、おっさんかせ離れてよ!」
「縁寿さんは熟成した男の良さをわかっていません!! この深み
ある男の世界をどうしてわからないのです?!」
 パチリ!
'''「“ぷっくっく。金蔵さま。こう見えても私、……あなたを好きに'''
'''なるのに、性別など気にしない男でございますよ……?”」'''
'''「“どうせクソッタレな人生さ。…狂い合おうぜ、……一緒に。”」'''

----

「あとは、そうですねぇ。98年組ということで、小此木×天草なんて
いかがです?!」
 パチリ!
'''「“天草、お前まだあの女のこと引き摺ってやがんのか?”」'''
'''「“昔の話は嫌いだって言ったはずですぜ、小此木の旦那。”」'''
'''「“…そうだったな、まぁ昔のことは俺が忘れさせてやるよ。拒否は'''
'''させねぇぜ? 社長命令だ……。”」'''
'''「“へッ、……クール…。”」'''
「ストップストップ!!! 需要はわかるけど、98年組でBL描けるほど
私は餓えちゃいないわッ!!」
「ならば、八城十八は如何です? もちろん郁子じゃない方ですよ!」
「一体、誰と絡ます気よ。相手が思い付かないわ。ってゆーか、
だからおっさんから離れてちょうだい!!」
「十八も黒戦人なんかに攻められちゃったら素敵ですよ?! どう
して縁寿さんはこの世界を理解できないのですか!!」
 パチリ!
'''「“いつまで俺を否定し続けるつもりなんだよ……。わかってる'''
'''だろ…? 俺はお前で、お前は、俺だ。……お前が何を望ん'''
'''でいるかも全て知っているし、……それを与えてやれるのも、…'''
'''…世界で、俺一人だけなんだぜ……。”」'''
'''「“やめろ……、やめてくれ戦人……。私は戦人じゃない'''
'''……、十八なんだ……。やめろ、……やめろぉおおお!! わッ、'''
'''私の中にッ、は、入って、……うぐぅッ、あッ!!”」'''

----

「確かに嫌いじゃないの、ビジュアル的には嫌いじゃない! でも
私、おっさんは駄目なの、見掛けは若くてもおっさんは描きたく
ないのー!!」
「この世の半分が男女であるように! 男の半分は中年なの
ですよー!!」~
「………ワルギリア。私たち、議論を続けていて、ひとつだけ確信
したことがあるわ。」
「えぇ、私も一つ、わかったことがあります。」~
「ワルギリア! あんたのおっさん属性、私、いい加減、ついていけ
ないの!! ペン入れするの誰?! トーン貼るの誰?! 私よ、私!! おっ
さんの尻やナニに、何が悲しゅうてペン入れせなあかんのッ!!」
「縁寿さんの視野は狭過ぎます!! あなたはヒネってるつもりで
しょうが、私から見ればそんなものは初歩の初歩!! そこからさ
らにもうひとヒネリ入れてこそがカップリングなのです!! そして
何より! おっさんの良さもわからずにBL語るの止めて下さい!!」

----

「何ですって、この腐れ魔女!! 私のペンで成り上がったサーク
ルのオマケの分際で!!」
「私のネームに頼るまでお誕生席がせいぜいだったくせに!! 
あなたは黙って、私のBLトレンドに従って原稿を描けばいいん
ですっ。」
「あんたのクソつまんないBL小説が何部売れてたのよ!! 私の
画力のお陰でしょ!!」~
&size(22){「ふぎーー!!! 言わせておけば、この小娘がー!!!」};~
&size(22){「何よ、やる気ぃ?! このクサレBBA-!!」};

----

 ………こうして、彗星の如く現れた、大人気サークル
「天使17歳」は、その伝説と共に、まさに彗星の如く消え去った。
 しかし、彼女たちの血潮には、熱きBLの魂が今も流れている。
 仮に仲違いをしたとはいえ、……それしきのことで、彼女らの
情熱を潰えさせてしまうわけもない。~
 彼女らは、今日もどこかのイベントで、思い思いの情熱を原稿
に変えて発表しているのだ……。
~
~
「……ま。元々、私は島中が向いてるのよね。こっちの方が、買
いに来る同好の仲間ひとりひとりとゆっくりと触れ合えていい
ものね。それに、お隣のサークルともゆっくり交流できるし。
……えっと、私のスペースはここね。」
縁寿の情熱は、今日も冷めることはない。
 ワルギリアとの合同サークル「天使17歳」は、やはり一瞬の奇跡
だったのだろう。
あれ以来、縁寿の個人サークルが壁際になることはない。

----

 ささやかな行列は出来るが、かつての、東ホールを横断する
ほどのものではない。~
「ま、身の丈にあった活動が一番よね。……コミケは頒布数
じゃないわ。自分の好きなものを発表できたかどうかなんだ
から。」~
 流行が何かとか、関係ない。
 自分の好きなものを好きなように描き、それが評価されたなら
最高なのだ。
 今回の縁寿は「彼岸花の咲く夜に」で申し込んだ。
……もちろん、BL系だ。~
「さ。お隣にご挨拶してから、設営を始めようかしら。……どーも、
こんにちはー。今日はよろしくお願いしまーす。」
「おっほほほ、こんにちは。よろしくお願いしま…………、」

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「あーッ、あんた、ワルギリア!! すっぴんだからわからなかったわ!!」
「縁寿さん…!! 今日もお化粧がお顔と首が色違いで素敵です
ことっ、おっほほほほほほ!!」~
&size(22){「「がるるるるるるるるるーーー!!!!」」};~
 二人は取っ組み合うかと思われたが、準備会スタッフが通り
かかり、まるでアーバンチャンピオンのように素知らぬフリで
誤魔化しあう……。
「……まぁ、お互い、自分の好きな道に進んだのですから。
お互いの道を認め合おうではありませんか。」
「それもそうね。私も大人げなかったわ。……ま、お互い、身の
丈にあった同人活動を楽しみましょ。」
「仲直り、します?」
「そうね。BLを愛する同志としてね。」~
 二人は再び握手を交わす。
 そこにはもう、すれ違った頃にあったようないがみ合いはない。

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「ワルギリアは小説?」
「えぇ。『彼岸花』のBL小説です。縁寿さんは?」
「漫画よ。『彼岸花』のBL漫画。これ、私の新刊。」
「これはどうも。では私の新刊もどうぞ。」~
 ワルギリアの新刊は、紅茶紳士×校長。
 縁寿の新刊は、野々宮×ひかる。~
「……相変わらず、おっさん趣味全開ね。……しかも校長が受け
って、マジで誰得なわけ?」
「縁寿さんこそ、相変わらず中年の良さがわかっていないよう
ですね。」~
~
&size(22){「「がるるるるるるるるるるーーー!!!!」」};

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 浜の真砂は尽きるとも。
 世にBLのカップリングは尽きまじ。
 主義主張は違えども、同じ同人の仲間同士、仲良くしたいもの
ですね……。
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RIGHT:おしまい

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RIGHT:うみねこのなく頃に
RIGHT:20111231 C81
RIGHT:会場限定小冊子
RIGHT:天使17歳
RIGHT:東シ-44a

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