EP3解明読本追加TIPS
2008年11月21日に双葉社より発行された
「うみねこのなく頃に 真相解明読本 Episode3」に掲載された書下ろしTIPSの一部抜粋です。
最低限の内容が伝わる形で書いてますが、全文については当該商品の購入にて対応下さいませ。
改行・頁など原文なるべくそのままにしました。
(AAなし→)http://www.amazon.co.jp/dp/457516478X
[編集]召還師からの手紙(書下ろしTIPS)
- 項目
- 召還師からの手紙 (Knowledge of summoner)
魔法が起こす数々の奇跡は、人間界において文字通り"奇跡"で
ある。
そして人間界における奇跡とは、真夏の日の霜柱のようなものと例えられるかも知れない。
真夏に霜柱があること自体が奇跡。
だから魔法の奇跡にて、真夏の炎天下に霜柱を生み出すことも
可能だろう。
しかし当然ながら、真夏の太陽の前に瞬時に溶けて、その姿と奇
跡を失ってしまう。
それでは悲しいから、より大きな霜柱を、より長い時間太陽の下に
留めようとするのが魔法の求道というものだ。
霜柱を、より大きく生み出そうとすれば、それには大きな魔力を
必要とする。
霜柱を、より長く留まらせようとすれば、それには大きな魔力を
必要とする。
つまり、一瞬だけの絶大なる奇跡を起こす魔法と、ちっぽけな奇跡
であっても永遠に残り続ける魔法は、一見すると前者の方が派手で
優れているように見えるが、魔法としての何度や必要とする魔力にお
いては全く同じなのである。
その意味で、後者の地味なる大魔法の最右翼である「召喚術」は、
魔術師たちの歴史において、非常に人気がないと言わざるを得ない
(・・・・中略・・・・)
魔法の奇跡の主たる燃料は、魔力という名の狂気的燃料で補わ
れる、
理解に難しければ、普通に腕力を想像してくれても良いだろう。
目の前に重い荷物があり、それが決められた場所まで運ばねばならないとする。
それを愚直に担ぎ上げて運んだなら、それにはかなりの腕力と体力
を必要とするだろう。
しかし、例えば荷車とか、てこの原理とか、持ちやすく取っ手を付
けるとか。いくつかの準備と要領で、その負担はかなり軽減できる。
魔法においても同じものがある。
それが魔法陣や触媒などの準備である。
これらの準備は非常に手間をかけるものが多い。
無理もないだろう。自分の魔力で足りない分を手間で補おうとするのだから。
魔術師を志す者はこれを忘れてはならない。
魔力とは生まれ持った素質だけではない。狂信的な執着心による"手間"もまた、魔力に通じるものである。
余談だが、私には生まれついての魔法の才能はない。
しかし、私は魔術師と自称できるだけの魔力を、こうてんてきに養った。
魔力は才能では断じてない、むしろ、どれさけの狂気を"長い時間維持できたか"によって宿ると言い切ってもいいだろう。
特に、召喚術という"奇跡を永遠に地上に留めよう"とする魔法を志す者は、このことを忘れないでほしいものだ。
(・・・・中略・・・・)
また、私の経験によるならば、
召喚術を行う上でその成功率を上げるために欠かせない準備
がある。
それが、依り代というものである。
(・・・・中略・・・・)
依り代は、簡単にいえば異世界からの客人を"宿らせるモノ"である。
(・・・・中略・・・・)
冒頭の霜柱の話に戻ろう。
真夏の炎天下に、そのまま霜柱を放置すれば瞬く間に溶け去って
しまうのは当たり前だ。
しかし、日光と灼熱を遮るクーラーボックスのようなものを準備し、
その中に霜柱を紹介したならば、その準備がない時に比べ、はるかに
長い時間、霜柱を真夏に存続させることが出来るはずだ。
(・・・・中略・・・・)
依り代は呼び出す客人に相応しいものであるべきだろう。
より相応しいものであればあるほど、顕現したときの力は増す。
(・・・・中略・・・・)
召喚術を志す者は、修練だけでなく、依り代にも感心を持っ
てもらいたい。
自分の魔力だけで何でも成し遂げようというのは、若者的な短絡
だ。
ここは老境の先輩召喚師の小言に耳を貸し、一種の情熱でなく、
召喚師らしい永続的な情熱で入念な準備を行い、素晴らしい召喚を
行って欲しい。
異世界からの未知なる客人が、君の人生に生涯貴重な経験を
与えてくれることを、私は信じて疑わない。
全文についてはEpisode3 真相解明読本にて・・・。
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