ノックス十戒
ここは、『うみねこのなく頃に』における「ノックス十戒」のページです。
[編集]ノックス十戒
- ドラノール・A・ノックスの父が生み出した異端審問の戒律。
その解釈は今なお議論が続いており、無数のアンフェア論争の火種となっている。
この戒律に背けば全て異端とする原理主義者がいる一方、これに抵触しつつも、列聖された偉人が存在したことを挙げる修正主義者もいる。(EP5TIPSより)
- 現実のノックスの十戒をモデルにしているが、『うみねこ』の世界観にあうように若干の改変がされている部分もある。
- 下記の表では上段に『うみねこ』で語られるノックス十戒、下段にはオリジナルの「Knox's Ten Commandments」の原文を載せた。解釈問題を避けるため、和文はできるかぎり直訳を意識している。
ノックス第1条 犯人は物語当初の登場人物以外を禁ず。 原文:The criminal must be someone mentioned in the early part of the story, but must not be anyone whose thoughts the reader has been allowed to follow.
(犯人は物語の初頭から登場している人物でなくてはならない。そのうえで、『読者と共に考える人物』が犯人であってもならない)ノックス第2条 探偵方法に超自然能力の使用を禁ず。 原文:All supernatural or preternatural agencies are ruled out as a matter of course.
(探偵方法に超自然能力を使用してはならない)ノックス第3条 秘密の通路の存在を禁ず。 原文:Not more than one secret room or passage is allowable.
(犯行現場に秘密の部屋や隠し通路が1つを超えて存在してはならない)ノックス第4条 未知の薬物、及び、難解な科学装置の使用を禁ず。 原文:No hitherto undiscovered poisons may be used, nor any appliance which will need a long scientific explanation at the end.
(未発見の毒物や、難解な科学的説明を要する器具を犯行に用いてはならない。)ノックス第5条 (欠番) 原文:No Chinaman must figure in the story.
(中国人を物語に登場させてはならない。)ノックス第6条 探偵方法に偶然と第六感の使用を禁ず。 原文:No accident must ever help the detective, nor must he ever have an unaccountable intuition which proves to be right.
(探偵は、偶然や第六感に助けられてはならない。)ノックス第7条 探偵が犯人であることを禁ず。 原文:The detective must not himself commit the crime.
(探偵自身が犯人であってはならない。)ノックス第8条 提示されない手掛かりでの解決を禁ず。 原文:The detective must not light on any clues which are not instantly produced for the inspection of the reader.
(探偵は、読者に提示されていない手がかりでの解決をしてはならない。)ノックス第9条 観測者は自分の判断・解釈を主張することが許される。 原文:The stupid friend of the detective, the Watson, must not conceal any thoughts which pass through his mind; his intelligence must be slightly, but very slightly, below that of the average reader.
(探偵の無能な友人であるワトスンは、自身の考えを読者に隠してはならない。彼の知性は一般的な読者よりもほんの少し鈍いようにすること)ノックス第10条 手掛かりなき他の登場人物への変装を禁ず。 原文:Twin brothers, and doubles generally, must not appear unless we have been duly prepared for them.
(双子と一人二役は、読者が正当だと思えない状況では登場させてはならない)
[編集]解釈に関する注意点
- TIPSの説明にあるように、議論の種となることしばしばらしいが、少なくともこのページでは、それを目的としているのではなく、まとめサイトとしての役割を果たしているに過ぎない。よって、ミステリー界で交わされるような、本格的で根源的な議論にならないようご注意を。
『うみねこ』を読むためのサポートであり、そのまとめである。
[編集]第1条について
- 原文にある「『読者と共に考える人物』が犯人であってもならない」という部分はうみねこではカットされている。『読者と共に考える人物』とは、一人称視点における視点キャラクター、要するに物語の語り手のことを意味している。
- この部分がカットされているということは、物語の語り手が犯人である可能性を否定しないということである。
[編集]第3条について
- 原文は秘密の通路の存在を少なくとも”1つ”は認めている。という解釈が主流のようである。
- 日本語でノックス十戒を解説している本やサイトでは「秘密の通路は一つも存在してはならない」という内容で書かれているものが多くあるが、これは「一つを超えるのを禁ずる」を「一つ以上を禁ずる」と誤訳した文がそれなりにひろまってしまったためと思われる。
- 『うみねこ』ではあえて「日本で誤解された」ルールの方を採用しており、秘密の通路の存在は”全面的に”禁じている。
[編集]第5条について
- 原文では「中国人の登場を禁じる。」という内容なのだが、ここでいう「中国人」とは「呪術や気功を使う不気味な連中」という意味である(当時のヨーロッパ人の多くには、中国人に対するそのような非現実的な偏見が一般的にあった)。つまり原文の第5条は「超自然的な力の持ち主を物語に登場させてはならない」ということを語っている。
- これを現代風に解釈すれば「超能力者の登場を禁ずる」。『うみねこ』の世界観に即して言えば「魔女・魔術師の登場を禁ずる」である。
- うみねこは「魔女・魔術師」が実在するかしないかを問うゲームであるため、その存在そのものを禁じられるとゲームが成り立たない。ゆえに欠番となっている。
- もっと単純に、「魔女が実在するから欠番」「魔女が登場する世界のミステリー作品」という世界観でも何ら問題がない。という考え方も可能かもしれない。この世界観が普通に描けるなら、この物語を読むことに支障はないかもしれない。
- 何気に台湾出身の源次は文字通りの意味で中国人だから適用できない、という解釈もありえる。
[編集]第9条について
- 10のルールのうち、原文の内容とうみねこでの解釈がもっとも食い違っている部分。
- 原文で語られる「ワトスン」とは、謎の答え合わせを行う探偵キャラとは別に用意される、読者の推理を助けるためのナビゲート役のキャラクターのこと。原文はワトスンに必要な資質を述べている。ワトスンの語源はシャーロックホームズの友人であるワトスン博士に由来する。
- ワトスンはあくまでナビゲート役なので正解を読者に教えるわけではない。多くのミステリーを見ればわかるように、ワトスン役が読者に伝える彼自身の判断や考えは往々にして誤っている(読者より知性が高くてはならないため)。うみねこではそれを逆手にとって「キャラクターの口を借りて事件現場の状況を伝える場合、読者をミスリードするような誤った情報を語ることも許される」という解釈も可能な書き方とした。推理の難易度を下げるためのナビゲート役を定義したはずの項目で、難易度を上昇させるミスリード役を定義したのである。「後期クイーン問題」に関する竜騎士07の解釈も参考。
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